筋トレやボディメイクの話題でよく耳にする「腹圧(ふくあつ)」。ですが、正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。腹圧を意識するとフォームが安定し、ケガのリスクも減らせる一方で、誤解したままトレーニングを続けてしまうと逆効果になることも。
私自身、腹圧を意識せずにトレーニングしていた頃は、ベンチプレスの記録も頭打ちで、デッドリフトでは背中を痛めることもありましたが、腹圧の仕組みを正しく理解し、使えるようになってから、ベンチプレスの最大重量は20kgアップ。デッドリフトでも腰の負担が減り、安定して高重量を扱えるようになりました。
この記事では、腹圧の基本的な仕組みから体幹との違い、そして高めるメリットまでを分かりやすく解説します。
・腹圧とは何か、体幹との違い
・なぜ腹圧がフォーム安定やケガ予防に効くのか
・筋トレ中に腹圧をかける具体的なテクニック
・呼吸・姿勢との関係性や、よくある誤解の対処法
腹圧とは?|腹腔内圧の基本と筋肉の連動
「腹圧」とは、腹腔(ふくくう)と呼ばれるお腹の内側にかかる圧力、つまり「腹腔内圧」のことを指します。この腹腔内圧は、以下の筋肉群が連動して働くことで発生します。
腹圧に関与する主な筋肉
- 横隔膜:呼吸と連動しながら腹腔を上から押し下げる
- 腹横筋(ふくおうきん):お腹の深層部をコルセットのように包む
- 骨盤底筋群:下から内臓を支える
- 多裂筋(たれつきん):背骨を安定させる役割
これらが協調して働くことで、腹腔の内部が圧縮され、体幹がしっかりと固定されるのです。
腹圧と体幹の違い|混同されがちな2つの概念を解説
「腹圧=体幹」と思われがちですが、実はこの2つは別の概念です。
項目 | 腹圧 | 体幹 |
---|---|---|
定義 | 腹腔内の圧力 | 胴体全体(胸・腹・背中)の構造 |
役割 | 内部からの圧で安定性を高める | 全身の力の伝達と安定 |
主な対象 | 横隔膜・腹横筋など | 腹筋群・背筋群など |
トレーニング方法 | 呼吸や内圧コントロールが重要 | 筋肉の強化が中心 |
腹圧は体幹の「内側」から働く仕組みであり、体幹トレーニングはその「外側」を鍛えるアプローチです。両者は相互に関係していますが、全く同じものではないため、正確な理解が必要です。
腹圧は「第3の骨格」|見えないけど重要な安定力
私たちの体には骨と筋肉という2つの支持構造がありますが、「腹圧」はそれに次ぐ“第3の骨格”とも呼ばれることがあります。なぜなら、腹圧が高まることで体幹部が内側から固定され、重いバーベルを持ち上げたり、ダッシュをしたりといった動作でも体がブレなくなるからです。
特に次のような場面では、腹圧が大きな違いを生みます
- スクワットやデッドリフトのフォーム安定
- 腰痛予防や改善
- スポーツ動作のパフォーマンス向上
よくある誤解|体幹トレーニングだけでは腹圧は高まらない
「体幹トレーニングをしているから腹圧も高まっているはず」と考える人は多いですが、実はそれは誤解です。
例えばプランクやクランチは体幹を鍛えるには有効ですが、呼吸を止めていたり、腹圧を意識せずに行うと、内圧が高まらないまま動いているだけになってしまいます。
腹圧を高めるには、以下のような“呼吸と連動したコントロール”が必要です
- 腹式呼吸を意識する
- ブレーシング(息を止めて腹を固める)を習得する
- 腹圧ベルトを使ったトレーニング
つまり、筋力だけでなく、神経系による「意識的な使い方」が重要というわけです。
腹圧を高めるメリットとは?
腹圧を正しく高められるようになると、日常生活からスポーツパフォーマンスまで幅広いメリットがあります。
具体的なメリット
- ✅ 重い重量を扱ってもフォームが崩れにくい
- ✅ 腰や背中のケガを予防できる
- ✅ ポッコリお腹解消|お腹の張り出しを内側から引き締める
- ✅ 内臓下垂や骨盤の歪み予防にも効果あり
特にトレーニング経験者ほど、重量を追う中で怪我をしやすくなります。そのリスクを大きく軽減する「腹圧の習得」は、筋トレを長く続けるうえで欠かせない要素です。
重い重量を扱ってもフォームが崩れにくい
筋トレにおいて重い重量を扱う場面では、体の安定性が非常に重要になります。腹圧がしっかりと高まっていると、体幹が内部から固定され、動作中もブレにくくなります。
特に次のようなコンパウンド種目では、腹圧の有無がフォームの安定性に直結します。
- スクワット
- デッドリフト
- ベンチプレス
腹圧を意識できていないと、重量が上がるにつれて腰が反ったり、上体が前傾してしまうリスクがあります。逆に、腹圧をしっかり高めた状態では、背骨がニュートラルなポジションを保ちやすく、力を効率よく伝えることができます。
腰痛の予防と改善に役立つ理由
腹圧のもうひとつの大きな役割は、「腰椎(ようつい)」を守ることです。
腰椎は構造的にとても繊細で、過度な伸展や捻転が加わると簡単に損傷してしまいます。しかし、腹圧を高めて腹腔内に内圧をかけることで、脊柱が内側から支えられ、クッションのような役割を果たします。
とくに次のような方には、腹圧の活用が非常に効果的です。
- 腰痛持ちの人
- 猫背や反り腰の人
- スポーツや日常動作で腰に負担を感じやすい人
ポッコリお腹解消|お腹の張り出しを内側から引き締める
「食事制限をしてもポッコリお腹が引っ込まない…」という人は、腹筋の“外側”ではなく“内側”の使い方に課題があるかもしれません。
腹圧を高める際に活躍する腹横筋は、「天然のコルセット」とも呼ばれる筋肉。これを活性化させることで、内臓を正しい位置に収め、お腹全体を内側から引き締めることができます。
具体的には以下のような効果が期待できます
- お腹の張り出しが軽減され、ウエストラインがすっきりする
- 猫背や骨盤の前傾によるお腹の突き出しを改善できる
- 体幹の深層部を使えるようになることで基礎代謝もアップ
内臓下垂や骨盤の歪み予防にも効果あり
腹圧を高めることは、美容や姿勢の改善にも効果的です。特に「内臓下垂(ないぞうかすい)」や「骨盤の歪み」が気になる方には注目していただきたいポイントです。
内臓下垂とは?
内臓が重力に従って下がってしまう現象で、便秘・冷え・下腹部の張りなどの原因になります。
腹圧が持つ効果
- 内臓を下から支える腹横筋や骨盤底筋が活性化し、内臓を正しい位置にキープ
- 骨盤を内側から安定させることで、左右の傾きや前傾・後傾の歪みを抑える
- 女性特有の産後トラブル(尿もれ、骨盤の開き)にも予防効果がある
腹圧は、ただのトレーニング技術ではなく、身体の深部を整えるセルフケアの一環としても非常に優れています。
腹圧が低下するとどうなる?日常で起こる影響とは
「腹圧」と聞くとアスリートやトレーニー向けの話のように思われがちですが、実は日常生活にも密接に関係しています。腹圧がうまく保てていないと、特別な運動をしていない人でもさまざまな不調を感じやすくなります。
ここでは、腹圧の低下によって起こる具体的な問題とその原因を詳しく見ていきましょう。
普段の生活で感じる「なんとなく不調」の正体
「疲れやすい」「腰がだるい」「立っているだけでつらい」——こうした不調の正体は、実は腹圧の低下による体幹の不安定化かもしれません。
腹圧が低いと、以下のような症状が現れやすくなります。
- ✅ 長時間立つと腰や背中がつらくなる
- ✅ 呼吸が浅く、疲れが抜けにくい
- ✅ 便秘・下腹部の張りが気になる
- ✅ 集中力が続かない
腹圧は「内側の支え」。これが抜けた状態では、全身がだらけてしまい、日常の動きひとつひとつに余計な負担がかかります。
無意識に楽をしすぎて腹圧が抜ける悪習慣
日常生活の中には、知らず知らずのうちに腹圧を抜いてしまう“悪習慣”がたくさんあります。代表的なのは以下のような行動です。
- 長時間の「背もたれにもたれた座り方」
- 口呼吸や浅い胸式呼吸
- スマホやパソコンを覗き込む前傾姿勢
- 緊張時に呼吸を止めるクセ
これらはすべて、腹圧を保つうえでマイナスに働く行動です。体は常に“楽をしよう”とするため、意識を向けていないとすぐに腹圧が抜けてしまいます。
ちょっとした姿勢の意識や、腹式呼吸の習慣づけをするだけでも、腹圧の維持には大きな効果があります。
姿勢を意識しすぎると逆に腹圧が落ちる?
意外に思われるかもしれませんが、「いい姿勢を意識しすぎること」が腹圧低下の原因になるケースもあります。
よくある例として
- 背筋を反らせすぎて腰が反ってしまう(反り腰)
- 肩を後ろに引きすぎて胸が張りすぎる
- アゴを引きすぎて呼吸が浅くなる
これらは一見「姿勢が良い」ように見えますが、本来の自然な骨格配列から逸脱しており、腹圧が抜けやすくなってしまうのです。
大切なのは「見た目の姿勢」ではなく、「腹圧を保てる自然な姿勢」です。理想的な姿勢は、次のような状態を指します。
- 耳・肩・骨盤が一直線に並ぶ
- お腹を軽く引き込み、力まずに立つ
- 深い腹式呼吸が自然にできる
腹圧を高める方法|初心者〜上級者まで対応
腹圧は「筋力」だけでなく「感覚」や「呼吸のコントロール」によって高めるものです。そのため、初心者でもしっかりステップを踏めば安全かつ確実に習得できます。ここでは、誰でも実践できる腹圧トレーニングを4つ紹介します。
ドローイン|インナーマッスルの感覚を掴む
ドローインとは、お腹をへこませながら呼吸することで、腹横筋などのインナーマッスルを活性化させるトレーニングです。特に初心者が「腹圧ってどこの感覚?」を掴むのに最適です。
ブレイシング|筋トレ前の「腹圧スイッチ」トレーニング
ブレイシングは、筋トレの際に腹圧を一気に高めるテクニックです。ドローインが「引き締め」なら、ブレイシングは「押し固める」動き。ウェイトトレーニングやパフォーマンス向上には欠かせません。
プランク|全身の連動性と静的筋力を高める
プランクは、体幹全体を安定させながら腹圧を保持する「静的」なトレーニング。特に腹横筋・多裂筋・横隔膜などの協調性を養うのに有効です。
原始的な体操|赤ちゃんの動きに学ぶ腹圧回復法
最新のトレーニング理論では、「赤ちゃんの発達運動」に学ぶ“原始的な動き”が腹圧回復に効果的だと注目されています。これは身体が本来持つ安定システムを再起動するようなアプローチです。
代表的なエクササイズ例
- ハンドニー(四つ這い)でのロッキング(前後揺れ)
- 仰向けで足を持ち上げる「デッドバグ」
- 寝返りの動き(ロールオーバー)
特徴
- 誰でも安全にできる
- 神経系に働きかけて、自然と腹圧が高まる
- 姿勢や呼吸も整いやすい
腹圧を意識する前に知っておくべき「APA」のメカニズム
ここまで「腹圧を高める方法」について具体的に紹介してきましたが、実はその前に知っておきたい大切な体の仕組みがあります。それがAPA(予測的姿勢調節)と呼ばれる、私たちの動作の土台となる機能です。
このAPAがうまく働いているかどうかで、腹圧が入りやすいかどうか、ひいては日常動作の質まで大きく変わってきます。
APA(予測的姿勢調節)とは?
APAとは「Anticipatory Postural Adjustment(予測的姿勢調節)」の略で、体が動き出す“前”に、無意識に姿勢を安定させる反応のことを指します。
たとえば、立った状態から片足を前に出すとき、無意識のうちに腹筋や足の筋肉が一瞬先に働いて体のバランスを保ちます。これがまさにAPAの働きです。
この調節機能がスムーズであれば、姿勢は崩れず、動きも自然。逆にAPAが弱いと、体がふらついたり、過剰に力んでしまったりと、無駄な動きや疲労につながってしまいます。
APAが機能するとどうなる?
APAがしっかりと働いていると、腹圧も自然と入りやすくなり、日常動作の安定感が格段に向上します。
たとえば次のような場面で違いを感じやすいでしょう
- 重い荷物を持ち上げるときに、腰や背中に負担がかからない
- 歩き始めや方向転換がスムーズになる
- 姿勢を保って立ち続けるのが楽になる
- 肩こりや腰のだるさが軽減される
これらはすべて、腹圧だけでなく「動き出す前の準備(APA)」が整っているかどうかで決まってくるのです。
特に年齢とともに「つまずきやすい」「踏ん張りがきかない」と感じる場合は、筋力の低下だけでなくAPA機能の衰えも関係している可能性があります。
姿勢は「意識」ではなく「連動」で整える
「良い姿勢を意識しましょう」と言われて、背筋をピンと伸ばす人は多いですが、実はこの“意識的な姿勢”がかえって腹圧を妨げることもあります。
本来、姿勢は頭・胸・骨盤・足などが自然に連動した結果として整うもの。無理に胸を張ったり腰を反らせたりすると、かえって呼吸が浅くなり、腹圧が抜けてしまいます。
APAがしっかり働いていると、こうした力みのない自然な姿勢が取れるようになります。そしてその自然な姿勢の中でこそ、腹圧も最大限に発揮されるのです。
筋トレ中に腹圧をかけるテクニック
腹圧の重要性を理解し、日常での意識もできるようになったら、次はいよいよ筋トレ中での実践です。
特にスクワットやデッドリフトなどの高負荷トレーニングでは、腹圧の使い方ひとつでフォームの安定性やケガのリスクが大きく変わります。
ここでは、筋トレ中に腹圧をかけるためのテクニックを、フォーム・呼吸・補助具の3つの視点から解説します。
スクワット・デッドリフトでの腹圧の入れ方
スクワットやデッドリフトのように、体幹への負荷が大きい種目では、動作前から腹圧を高めておくことが最重要ポイントです。
基本の流れ
- バーベルを担ぐ or 掴む前に、足の裏で地面をしっかり踏み、骨盤をニュートラルにセット
- 軽く息を吸い、お腹を膨らませながら全方向に力を入れる(ブレイシング)
- お腹を固めた状態のまま動作に入る(息は止めすぎず、軽くコントロール)
- 動作中も腹圧を意識して維持し、トップポジションに戻るまで抜かない
ポイント
- 腹を“前に出す”のではなく、360度広がるように力を入れる
- 胸を張りすぎて腰が反らないよう注意(過伸展は腹圧低下につながります)
ベルトの使い方|腹圧を高める補助具の正しい使い方
リフティングベルト(トレーニングベルト)は、腹圧を補助・強化するための非常に有効なツールです。ただし、「締める=安全になる」という誤解も多いため、正しい使い方を理解しておく必要があります。
ベルトの効果
- 腹部に“抵抗面”を作ることで、腹圧をかけやすくなる
- 体幹が安定し、より高重量に耐えられるようになる
- 腰椎の過伸展(反りすぎ)を抑制する
使い方のポイント
- ベルトは腹式呼吸でお腹を膨らませたときに、軽く押し返す程度の強さで締める
- 締めすぎると逆に呼吸が浅くなり、腹圧をかけづらくなる
- 腰だけでなく、お腹全体(前・横・背中)を押す感覚が重要
呼吸との連動で腹圧を保つ|「息を止める」は正しいのか?
腹圧をかける際によくある疑問のひとつが、「息を止めるべきか?」という点です。
結論から言うと、状況に応じて“コントロールされた呼吸保持”が必要です。完全に息を止めるのではなく、「適切に保つ」ことが腹圧維持のカギとなります。
基本的な呼吸
- セット前に腹式呼吸で吸う(7〜8割程度)
- 腹圧をかけながら“息を保つ”
- スクワットやデッドリフトなら、下ろす→上げるまでを1呼吸内で行う
- トップポジションで息を吐く → 次の動作へ
注意点
- 呼吸を完全に止めてしまうと、血圧が急上昇し危険な場合もある
- 長時間息を止めず、1〜2回に1度は呼吸をリセットする習慣を
腹圧と体幹トレーニングの最適な関係
ここまでの記事で、「腹圧は体幹とは別物」であることをご説明してきました。しかし、だからといって体幹トレーニングが不要というわけではありません。むしろ、腹圧と体幹の関係を正しく理解し、互いを補完し合う形でトレーニングを行うことが、安定した強い身体をつくるカギとなります。
このセクションでは、腹圧と体幹トレーニングの“バランスの取り方”について、実践的な視点から解説します。
インナーマッスルを理解した正しい体幹トレーニング
体幹トレーニングというと、腹直筋をバキバキにするイメージを持たれる方も多いですが、本当に重要なのはインナーマッスル=深層筋群です。これらは姿勢維持や腹圧の調整に関与し、「動かす筋肉」ではなく「支える筋肉」として働きます。
主なインナーマッスル
- 腹横筋(腹の最深部にある横巻きの筋)
- 多裂筋(背骨に沿って存在する安定筋)
- 骨盤底筋群(内臓を下から支える)
- 横隔膜(呼吸に関与しながら圧力を調整)
これらを意識的に使えるようになることが、腹圧の安定化にも直結します。
腹圧だけに頼らない、全身で支える体の作り方
腹圧が高まることで体幹の安定性は大きく向上しますが、逆に腹圧「だけ」に頼ってしまうと、他の部位がうまく使えなくなってしまうこともあります。
重要なのは、「腹圧を軸にしつつ、全身の筋肉を連動させて支える」というバランスです。
全身を使った体幹の支え方
体の部位 | 役割 |
---|---|
足裏 | 地面との接地感覚を高め、安定感を得る |
股関節 | 骨盤を適切に動かし、力の中継点となる |
肩甲骨 | 上半身と連携して体幹をつなぐ |
呼吸 | 横隔膜を通じて腹圧と全身の緊張を調整 |
スクワットやデッドリフトなどでの動きも、単にお腹を固めるだけではなく、「足で地面を押す」「背中で支える」「腕と肩でコントロールする」といった全身の連動があってこそ腹圧が機能するのです。
よくあるQ&A
腹圧を意識しすぎて力が入りすぎるのはNG?


はい、実は「力みすぎ」は腹圧の本来の効果を妨げてしまいます。
腹圧は「腹筋をギューッと固めること」ではなく、呼吸を伴った内圧のコントロールがポイントです。過剰に力を入れてしまうと、肩や首にまで緊張が広がり、逆に不安定なフォームになってしまうこともあります。
まずは軽いブレイシング(軽く膨らませて支える感覚)から始め、動作に応じて強弱を調整するようにしてみてください。
腹圧が全然感じられない時はどうすればいい?


その場合は、一段階前の「感覚づくり」から始めるのがおすすめです。
腹圧は、いきなり意識しても感覚がつかみにくいものなので、まずは仰向けで膝を立てた姿勢で行う「ドローイン」からスタートしましょう。
また、壁や床など“押し返せる対象”を使って練習すると、内側から力を入れる感覚を掴みやすくなります。
呼吸が苦しくなるのはやり方が間違ってる?


呼吸が苦しく感じる場合、腹圧をかけるタイミングや呼吸の止め方が適切でない可能性があります。
腹圧をかける時に完全に息を止めてしまうと、横隔膜が動かなくなり、呼吸も苦しくなります。
正しくは、腹圧を保ちつつ「軽く息を止めるか、ごく浅い呼吸でキープする」のが理想です。
まずは短時間から試し、「息が苦しい=強くやりすぎているサイン」と考えて、少し力を抜いて練習してみましょう。
筋トレに腹圧を活かすために|まとめと実践のススメ
腹圧は、ただお腹に力を入れるだけではなく、全身の安定性を高めるための“内側からの支え”です。正しく使うことで、フォームの崩れを防ぎ、ケガのリスクを下げ、パフォーマンスの向上にもつながります。
まずはドローインやブレイシングで感覚を掴み、徐々にトレーニング中でも腹圧を意識できるように練習していきましょう。無理に力むのではなく、呼吸と連動させながら自然に腹圧を保てる状態を目指すことが大切です。
腹圧を“意識して使える”ようになると、筋トレの質も安全性も一段とレベルアップします。焦らず一歩ずつ、日々のトレーニングに取り入れてみてください。

【監修者情報】
筋トレ&栄養学に基づくボディメイク指導者/Webライター
大学では運動生理学と栄養学を専門に学び、卒業後は介護施設で高齢者への運動指導に従事。現在はWebマーケティングにも携わりながら、筋トレや栄養学に関する正しい知識を広める活動を行っている。自身もボディメイク大会に出場し、10kg以上の減量や体脂肪率3%までの絞り込みを達成。実体験と専門知識をもとに、科学的かつ実践的なトレーニング・食事管理の情報を発信している。