「姿勢を良くしたい」「肩こりを解消したい」「逆三角形のかっこいい後ろ姿に憧れる」——そんな悩みや目標を持っている方にこそ、ぜひ取り組んでほしいのが背筋のトレーニングです。
背中の筋肉は、日常生活ではあまり意識されにくい反面、身体のバランスを支えるうえで非常に重要な役割を担っています。しかも、背筋は身体の中でも特に大きな筋肉群のため、鍛えることで姿勢改善・肩こり予防・基礎代謝アップ・スタイルの引き締めなど、多くのメリットが得られます。
本記事では、まず背中の筋肉の構造をわかりやすく解説し、そのうえでジム・自宅でできる効果的な背筋トレーニングを目的別に紹介していきます。さらに、筆者自身の体験談や、よくある疑問へのQ&Aも交えながら、初心者でも安心して背筋トレーニングを始められるよう構成しました。
「何から始めればいいかわからない」という方でも、この記事を読み終えるころには自分に合ったメニューが明確になり、すぐに行動に移せるはずです。
それでは、理想の背中を手に入れる第一歩を踏み出していきましょう!
✔ 背中の筋肉の構造と役割
✔ 背筋を鍛えることで得られるメリット
✔ ジムでできる背筋トレーニング
✔ 自宅でもできる簡単&効果的な背筋トレーニング
✔ 目的別に選ぶべきトレーニングメニューの具体例
✔ 背中トレーニングで気をつけるべき注意点
背中の筋肉の構造
背中の筋肉は複雑に構成されており、大きく分けて以下の3つの層に分類できます。
表層筋(アウターマッスル)
主に見た目に影響を与える筋肉で、背筋トレーニングでもっとも意識される部位です。代表的な筋肉には以下があります。
- 広背筋(こうはいきん):背中の下部から側面にかけて広がる大きな筋肉。逆三角形のシルエットを作る主役です。
- 僧帽筋(そうぼうきん):首の付け根から肩甲骨にかけて広がる筋肉。肩こりとも関係が深い部位です。
中間層筋
姿勢の安定に関与する筋肉が多く、日常生活やスポーツの動作に影響します。
- 大菱形筋・小菱形筋(だいりょうけいきん・しょうりょうけいきん):肩甲骨を内側に引き寄せる働きを持ち、猫背の改善に重要です。
深層筋(インナーマッスル)
背骨の周辺に位置し、身体の安定や姿勢の維持を支える役割があります。
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん):背骨に沿って縦に走る筋肉群で、上体をまっすぐ保つために欠かせません。
背筋を鍛えるメリット
背筋を鍛えることによって得られるメリットは、見た目の変化にとどまりません。具体的には、以下のような効果が期待できます。
1. 姿勢が改善される
脊柱起立筋や菱形筋を鍛えることで、猫背や反り腰といった姿勢の乱れが改善され、自然と「背筋が伸びた美しい姿勢」に近づきます。
2. 肩こり・腰痛の予防・緩和
僧帽筋や広背筋がしっかり働くようになると、肩甲骨周りの血流が良くなり、肩こりや腰痛が軽減されやすくなります。とくにデスクワーク中心の方におすすめです。
3. 代謝が上がる(ダイエット効果)
背中は身体の中でも大きな筋肉が集まっている部位です。ここを鍛えることで基礎代謝がアップし、脂肪が燃焼しやすい体質を目指せます。
4. スポーツパフォーマンスの向上
引っ張る・押す・ひねるなどの動作に背筋は深く関わっています。水泳や野球、テニスなど多くのスポーツで背筋は重要な役割を果たします。
5. 見た目の引き締め効果
広背筋を鍛えることでウエストとの対比が強調され、いわゆる「逆三角形の美しい上半身」を作ることができます。Tシャツやスーツも格好よく着こなせるようになります。
ジムで出来る背筋を鍛えるメニュー
ジムには、背筋を効果的に鍛えるためのマシンや器具が多数揃っています。ここでは、背中の各部位にしっかり効かせられる代表的な7種目をご紹介します。
※各種目では、「フォームの正確さ」がもっとも重要です。無理な重量でのトレーニングはケガの原因となるため、丁寧な動作を心がけましょう。
1. デッドリフト
鍛えられる部位: 広背筋、脊柱起立筋、大臀筋、ハムストリングなど
難易度: ★★★★☆
デッドリフトは、全身の筋肉を連動して使うコンパウンド種目で、背筋全体を鍛えるのに最適な王道トレーニングです。
やり方のポイント
- バーベルを足元に置き、腰を落としてグリップ
- 背中をまっすぐに保ち、股関節を使って立ち上がる
- バーベルは体に沿わせて上下させる
注意点
- 背中が丸まると腰を痛めやすいため、胸を張って動作しましょう
2. ラットプルダウン
鍛えられる部位: 広背筋、僧帽筋、腕の屈筋群
難易度: ★★☆☆☆
初心者でも取り組みやすい広背筋狙いの定番マシントレーニングです。背中に厚みと広がりを出したい方におすすめ。
やり方のポイント
- バーを肩幅より広めに持ち、胸を張って座る
- バーを首の前まで引き下げ、ゆっくり戻す
- 肘を「下げる」意識で行うと広背筋に効きやすい
3. チンニング(懸垂)
鍛えられる部位: 広背筋、僧帽筋、上腕二頭筋
難易度: ★★★★☆
自重トレーニングの中でも非常に強度が高く、広背筋を徹底的に鍛えられる種目です。
やり方のポイント
- オーバーグリップ(手の甲を自分に向ける)でバーを握る
- 胸をバーに近づける意識で引き上げる
- 反動を使わず、コントロールして動作する
補足
- 初心者はアシストマシンやゴムバンドを使うと◎
4. ベントオーバーロウ
鍛えられる部位: 広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋
難易度: ★★★☆☆
バーベルまたはダンベルを使って行う、背中の厚みを作るトレーニングです。
やり方のポイント
- 上体を45度ほど前傾させて構える
- 肘を後方に引き、肩甲骨を寄せるようにバーを引く
- 背中を丸めず、腹圧を保ちながら動作
5. シーテッドケーブルロウ
鍛えられる部位: 広背筋、菱形筋、僧帽筋中部
難易度: ★★☆☆☆
ケーブルマシンを使って、肩甲骨の可動域を活かしながら広く・深く効かせる種目です。
やり方のポイント
- 胸を張って座り、ケーブルハンドルを両手で握る
- 背筋を伸ばし、肘を引きながら肩甲骨を寄せる
- 肘は体に沿って動かすと効果的
6. ワンハンドダンベルローイング
鍛えられる部位: 広背筋、菱形筋、僧帽筋
難易度: ★★☆☆☆
片手ずつ行うことで、筋肉の左右差を調整しやすく、動作を意識しやすいのが特徴です。
やり方のポイント
- ベンチに片手・片膝をつき、もう片方の手でダンベルを持つ
- 肘を引いて肩甲骨を内側に寄せるイメージで引き上げる
- 体がねじれないよう注意
7. ケーブルプルオーバー
鍛えられる部位: 広背筋(特に下部)
難易度: ★★☆☆☆
ラットプルダウンと違い、腕の関与を減らして広背筋だけを集中的に刺激できる種目です。
やり方のポイント
- ケーブルマシンの上部にロープまたはストレートバーをセット
- 腕を伸ばした状態から、体側に向けて弧を描くように引く
- 広背筋をしっかり収縮させ、勢いに任せない
自宅でできるトレーニング
「ジムに通う時間がない」「器具がないけどトレーニングしたい」という方でも、背筋は自宅で十分に鍛えることが可能です。ここでは、自重や家庭にある道具を使って行える、効果的なトレーニングを3種目紹介します。
初心者でも取り組みやすく、姿勢改善や腰痛予防にもつながる種目ばかりなので、ぜひ取り入れてみてください。
1. スーパーマン
鍛えられる部位: 脊柱起立筋、広背筋
難易度: ★☆☆☆☆
寝た状態で行える、自重トレーニングの基本。背中全体を使って姿勢保持力を高める種目です。
やり方
- うつ伏せで寝て、手足を伸ばす
- 両手・両足を同時に持ち上げ、胸を床から浮かせる
- 数秒キープしてから、ゆっくり戻す
ポイント
- 腰ではなく、背中の力で反らせる意識
- 呼吸を止めずに行うこと
2. バードドッグ
鍛えられる部位: 脊柱起立筋、腹筋、体幹全体
難易度: ★★☆☆☆
体幹の安定性を高めるのに優れたエクササイズで、反り腰や猫背の改善にも有効です。
やり方
- 四つん這いになり、背中をまっすぐ保つ
- 右手と左足を同時に伸ばし、数秒キープ
- ゆっくり戻し、反対側も同様に行う
ポイント
- 背中が丸まらないよう意識
- ゆっくり丁寧な動作が効果的
3. タオルロウ
鍛えられる部位: 広背筋、菱形筋、僧帽筋
難易度: ★★☆☆☆
タオル1枚あればできる、背中を引く動作を再現できるトレーニングです。
やり方
- うつ伏せになり、両手でタオルの端を持って頭の先へ伸ばします。
- 背筋を使って上体を少し起こし、つま先も少し浮かせるようにします。
- そのまま息を吐きながらタオルを自分の胸まで引き寄せます。
- 引き寄せきったら腕を伸ばして元の状態に戻ります。
ポイント
- 引き寄せたら肩甲骨をギュッと内側に寄せると広背筋に強い刺激を与えられ効果的
引用:https://www.zen-hd.co.jp/zen_club/?p=10545
目的別メニューの選び方
背筋トレーニングは「なんとなく鍛える」のではなく、自分の目的に合った種目を選ぶことが成果への近道です。
ここでは、「広い背中」「分厚い背中」など、見た目や機能の違いに応じたトレーニングメニューの選び方をご紹介します。
広い背中を目指すなら懸垂
逆三角形のシルエットを手に入れたいなら、広背筋をしっかりと鍛える必要があります。そのために最も効果的な種目の一つが「懸垂(チンニング)」です。
懸垂は、自重を使って広背筋をダイレクトに刺激できるため、背中の“広がり”を作るのに最適なトレーニングです。
でも懸垂って難しい…そんなときは?
初心者にとって懸垂は意外とハードルが高く、「1回もできない…」という方も珍しくありません。そんなときは、以下のようなサポート付きの懸垂で段階的にレベルアップしていきましょう。
おすすめの代替・補助方法
- アシストチンニングマシン:負荷を軽くして懸垂動作を練習できる
- ジャンプ懸垂:ジャンプしてバーの上まで体を引き上げたら、ネガティブ動作(降りる動作)をゆっくり行う
- ラットプルダウン:懸垂に必要な筋力をマシンで段階的に養える
分厚い背中を目指すならデッドリフト
「背中に厚みを出したい」「パワフルな後ろ姿を作りたい」という方には、高重量を扱える「デッドリフト」が最適です。
デッドリフトは広背筋だけでなく、脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリングスなど多くの筋肉を同時に鍛えることができる全身トレーニングの王様とも言える種目です。
高重量=高リスク!ケガ予防が超重要
非常に効果が高い分、フォームを崩すと腰を痛めるリスクも高くなります。とくに初心者は以下のポイントを意識して、安全に取り組みましょう。
安全に行うためのポイント
- 腹圧をかける(お腹に力を入れて体幹を固定)
- 背中をまっすぐキープし、反り腰にならないようにする
- 動作を急がず、コントロールを意識する
背中の筋トレをする際の注意点
背筋トレーニングは見た目の変化や体力アップに非常に効果的ですが、やり方を間違えるとケガや効果の減少につながることもあります。ここでは、初心者〜中級者にとって特に重要な3つの注意点をご紹介します。
正しいフォームを意識する
どんなに効果的な種目でも、フォームが崩れていては狙った筋肉に効かないばかりか、ケガにつながる可能性があります。
フォームを守るためのチェックポイント
- 背中を丸めずに、胸を張る
- 動作を急がず、コントロールする
- 鏡や動画で自分のフォームをチェックする
- 無理に可動域を広げようとしない
特に「デッドリフト」や「ベントオーバーロウ」など、前傾姿勢を伴う種目ではフォーム崩れが起こりやすいため要注意です。
無理に高重量を扱わない
高重量のトレーニングは筋肥大に有効ですが、未熟なフォームや準備不足のまま無理をするとケガのリスクが急上昇します。
重量設定の目安
- 「あと2回はギリギリできそう」くらいがベスト
- まずは軽めの重量でフォーム練習を徹底
- 十分にフォームを固めてから、段階的に重量を上げる
トレーニングベルトの活用も検討
デッドリフトやベントオーバーロウなどで高重量に挑戦する際は、トレーニングベルト(リフティングベルト)を使うことで腹圧を高め、腰の保護につながります。
ただし、ベルトはあくまでサポートアイテムですので、根本的なフォームができていない状態では逆効果になることもあります。
どこの筋肉を使っているかを意識する
トレーニング効果を最大限に引き出すには、「どこに効いているか」を意識しながら動作すること(マインドマッスルコネクション)が重要です。
背中に効かせるためのコツ
- 腕で引っ張るのではなく、背中の筋肉を使うイメージを持つ
- 肘を「後ろに引く」ことで、肩甲骨の動きを感じる
- 動作中に広背筋や菱形筋の収縮・伸展を意識する
初めのうちはうまく感覚がつかめないかもしれませんが、軽い重量で丁寧に反復することで、少しずつ感覚が養われていきます。
筆者の体験談
私自身、最初は懸垂が1回もできないところからのスタートでした。トレーニングを始めたばかりの頃は、自分の体重を引き上げることがこんなに難しいとは思っていませんでした。
そんな中で取り組んだのが、アシストチンニングマシンとジャンプ懸垂です。ジャンプでバーの上まで体を持ち上げた後、できるだけゆっくり降りることで、背中の筋肉を使う感覚が少しずつ掴めるようになっていきました。
この練習を継続していくうちに、徐々に通常の懸垂もできるようになり、今では自重で10回×3セットが余裕でこなせるようにまでなりました。その後は、ウエイトベルトで負荷を加えて「過重懸垂」に挑戦し、さらに背中の広がりを意識したトレーニングを続けています。
日々のトレーニングでは、この記事で紹介した背筋メニューをバランスよく取り入れていますが、やはり「広い背中」を作るうえで最も効果を感じたのは、圧倒的に懸垂です。
「逆三角形のシルエットを作りたい」「広がりのある後ろ姿を手に入れたい」と考えている方には、懸垂を極めることを心からおすすめします。最初はできなくても、正しいステップを踏めば、必ず成長を実感できる種目です。
よくある質問
Q. 背筋のトレーニングは週に何回やればいいですか?
A. 初心者の方なら週2〜3回がおすすめです。背筋は大きな筋肉なので、しっかりトレーニングすると回復にも時間がかかります。毎日やるのではなく、1〜2日の休息を挟んで行うと効率的です。
Q. 背中に効いている感じがしません。どうしたらいいですか?
A. まずはフォームと意識を見直してみましょう。腕で引いてしまうと背中に効きにくいので、肘を後ろに引くイメージを持つと◎。軽めの重量で広背筋や僧帽筋の動きを意識する練習をすると感覚がつかみやすくなりますよ。
Q. 女性でも背筋トレーニングをしたほうがいいですか?
A. もちろんです!背筋を鍛えることで、猫背の改善・スタイルアップ・代謝向上など、女性にとってもうれしい効果がたくさんあります。ムキムキにはならないので、安心して取り組んでくださいね。
まとめ
背筋トレーニングは、見た目・健康・機能性のすべてに効果をもたらす万能エクササイズです。特に以下のようなメリットがあります。
- 姿勢が整い、スタイルが良く見える
- 肩こり・腰痛の予防・改善に役立つ
- 代謝アップによるダイエット効果
- スポーツパフォーマンスの向上
- 自信につながる後ろ姿を作れる
本記事では、ジム・自宅どちらでも実践できる種目を目的別に紹介してきました。最初はうまくできないこともあるかもしれませんが、正しいやり方で継続すれば必ず成果は現れます。
特に「広い背中」を目指すなら、筆者も実感した懸垂の習得・強化がおすすめです。自分の目的に合ったメニューを選び、無理なく継続していきましょう。
さあ、今日からあなたも理想の背中づくりを始めてみませんか?

【監修者情報】
筋トレ&栄養学に基づくボディメイク指導者/Webライター
大学では運動生理学と栄養学を専門に学び、卒業後は介護施設で高齢者への運動指導に従事。現在はWebマーケティングにも携わりながら、筋トレや栄養学に関する正しい知識を広める活動を行っている。自身もボディメイク大会に出場し、10kg以上の減量や体脂肪率3%までの絞り込みを達成。実体験と専門知識をもとに、科学的かつ実践的なトレーニング・食事管理の情報を発信している。